90年代後半から21世紀の現在まで続いているへヴィ・ロック、ラップ・メタルの一大ムーヴメントの基盤を築いたのは、Metallicaの「black album」、そしてRage Against The Machineの1stアルバムだと個人的には思っている。
90年代に入ると、80年代に全盛を極めた複雑な構成と完成度に重きを置くメタル音楽に対する反発から、リズムやグル−ヴというプリミティヴな興奮要因を重視することで、本当の「へヴィネス」を追求しようするバンドが現れて来た。複雑さと様式美が要求されるまでに発展されたへヴィ・メタルからは、もはやロック本来のシンプルでストレートな攻撃性は取り除かれていたのである。その様式化から脱するにはへヴィ・メタルの初期化以外に方法はなかった。そのため新手へヴィ・バンド勢がこぞってリスペクトするようになったのはLed zeppelinBlack sabbathであり、その理由はこの両バンドに本当の「へヴィネス」があったからである。
さて、ここで挙げたLed zeppelinBlack sabbathの両バンド。それぞれ具体的にどのような音楽的要素を90年代へヴィ・ロック勢に与えたのかということになるが、両者ともに共通にいえるのはブルースやジャズといったブラックミュージックのグル−ヴの導入によるへヴィネスに他ならない。言いかえれば、Led zeppelinや初期Black sabbathの音楽があれほどまでへヴィであったのは、ブルージーなリフを中心に曲を構成していたからである。そして更にLed zeppelinはブルースだけでなく、「presence」においてファンクとハード・ロックをミックスすることで、更に音楽性をアグレッシブなものへと発展させることに成功している。90年代初期のMetallicaはBlack sabbathの影響を強く受け、そしてRage against the machineはLed zeppelinの手法を採用したといえる。
しかしこれだけでは、ファンクとHR/HMのミクスチャー音楽にラップを乗せることで、今のへヴィ・ロックの基盤を築いたのがRage Against The Machineである、という見解にまだ反対する人もいるかもしれない。確かにRed hot chili peppersやStevie Salasは、Rage Against The Machine以前から「ミクスチャー」という言葉を打ち出していた。しかし彼らは、あくまでSly and the family stoneが昔に試みたようなファンク側からロック側へアプローチする手法を選んだのであり、Led zeppelinや今のへヴィ・ロックに見られるような明確なHR/HMの色が薄い。Rage Against The Machineの場合は、もはや典型的白人音楽の域に達していたHR/HMに、ヒップホップという新たなブラックミュージックを再び逆輸入し初期化したのである。その意味でもRage Against The Machine後に続いたヘヴィ・ロックの1大ムーヴメントは、第2期ブルースロック・ブームといっても良いかもしれない。
だが、そのような今のへヴィ・ロックも、かつてヘヴィ・メタルのギター・リフが様式化していったのと同じように、徐々にザックリと耳障りの良いものに統一されるようになっていった。また、次第にリスナーがヘヴィ・ロックに求めるようになるものは、ヘヴィさからメロディのキャッチ−さへと移行していった。おかげでヘヴィ・ロックは高音域のサビを必要とするようになり、そのリスナーの要求に応えたStaindやPuddle of mud、Creed、Incubus等のバンドは、もはやヘヴィ・ロックのバンドではなくグランジのリバイバル・バンドと認識されているほどである。
Rage Against The Machineからザック・デ・ラ・ロッチャというメロディを持たないラッパーが脱退し、グランジの旗手・Soundgardenのボーカリストであったクリス・コーネルが加入した新生バンド・Audioslaveは、確かに運良くそういった時代の流れに沿ったものであるといえそうだが、逆に考えれば常にヘヴィ・ロックのオリジネ−ターとして君臨してきた彼らが凡百のへヴィ・ロックに埋もれてしまうのではないかという不安がよぎるのも確かだ。英米のメディアでは最高の評価で迎えられ、既に1stアルバムがロングヒットになっているAudioslaveだが、決してナンバーワンのへヴィ・ロックに終わることなく、自分達でしか作れない普遍的な音楽を追求していってもらうことを期待している。

1/30/2003
Zack De La Rocha - vocals
Tim Commerford - bass
Brad Wilk - drums
Tom Morello - guitars
Chris Cornell - vocals
Tim Commerford - bass
Brad Wilk - drums
Tom Morello - guitars
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