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Audioslaveの1stアルバムは、結局日本では大の不評でしか迎え入れられなかったものの、本国アメリカでは約1年半にも渡ってTOP100位内をキープし、最終的には本国だけで300万枚弱のセールスを売り上げるロングヒットを記録している。そのロングヒットに貢献した大きな要因は、当然ながらアルバムからの秀曲のシングル・カットだったわけだが、意外なことにビルボード・モダンロック・チャートで上位をキープし続けたのは、”Cochise”や”Show Me How to Live”といった、Rage Against The Machine/Soundgardenに代表されるLed Zeppelin的なヘヴィ・チューンではなく、良くも悪くも”Like a Stone”や”I am the Highway”のようなバラード・ソングであった。つまりこの驚異的なロングヒットは、Rage Against The MachineとSoundgardenという2大ビッグネームによるものではないことの証明だといえる。結局のところ、「元Rage Against The Machine」という背後霊に捕り付かれていたのは、日本のファンだけだったのかもしれない。1stアルバムの段階で、”Like a Stone”も”I am the Highway”も”Shadow on the Sun”も「Audioslave」だったのだ。
前置きが長くなったが、そういった前作での市場を踏まえて、2ndアルバムからの最初のリリース曲を”Be Yourself”にしたのは非常に巧妙だったと言える。また、前作で顕著だったような、徹底したリフ・ロックと徹底したバラードという、アルバム内での静と動のあからさまなギャップは埋められており、どれもが一応に美しいメロディック・ロックに仕上がっている。そのため1stアルバムは、どの曲をすっ飛ばしてどの曲を聞くかの判断が簡単だったが、今作はアルバムを通してどの曲もスムーズに聞けてしまう聴き易さと圧倒的な完成度を放っている。
その”聴き易さ”において非常に特徴的なのは、これまでお馴染みの”溜め”中心の横ノリのヘヴィ・ロックを温存しつつも、”抜け”を重視した縦ノリのドライヴ感溢れるハード・ロックに大胆に移行していることではないだろうか。確かに1stの路線を引きずった”Out of Exile”や”The Worm”といったフックを効かせたスロウなヘヴィ・チューンも健在だが、あくまでアルバムとしてのハイライトは”Your Time Has Come”, ”Drown Me Slowly”, ”Man or Animal”といった、王道アメリカン・ハード・ロック・ナンバーのように受け取ることができる。語弊があるかもしれないが、気を抜いて聴いていると、エディが歌っていればPearl Jamの新曲としても成立しそうな楽曲さえ見受けられるほどだ。(まあ、トムのギター・ソロに突入すれば、一気にAudioslaveに連れ戻されるが。)
もはやRage Against the Machineの名残を追い求めるのがナンセンスなほど「Audioslave」としての方向性を築いているアルバムではあるが、同時に彼ら以外では演奏しているのが想像できないサウンドでもある。本当に隙のない出来になっているのだ。
しかし逆に言ってしまえば、アルバムの完成度を洗練させた代わりに、どうにも1曲1曲の勢いが薄れてしまった印象がしてならない。例えば、アルバムの立ち上げとなる1曲目”Your Time Has Come”にしても、前作の”Cochise”に比べれば明らかに迫力に欠けるものがある。もうここまで来ると、どこでアルバムの良し悪しを決めるのかは個人の判断ではある。確かに今作には駄曲は見当たらない。だが個人的には、むしろアルバム1枚を通して聞くと相当な疲労感を覚えるほど、1曲1曲が耳に付く濃厚なダイナミズムを持っていた1stの方が好きだった。
クリス・コーネルは、Audioslaveでもう一度「Down on the Upside」を作りたかったのだろうか。「Down on the Upside」で集大成を築き、解散してしまったSoundgardenだが、“No Attension”のような角の丸まったパンク・ソングで一方的に過去のやんちゃぶりを清算させられるのはファンとしてはもう懲り懲りだ。
これだけ完成された大人な王道ロックの中、独り淡々と相変わらずのB級変態ギター・プレイを炸裂させているトム・モレロの不協和音を期待して、これからのAudioslaveの作品群を期待することにしよう。歳は取っても、彼のように変態が生活習慣病でいたいものだ。
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