THE BATTLE OF JAPAN THE BATTLE OF JAPAN
いよいよ本日の夕方にはレイジの幕張公演が控えているというのに、朝方まで飲み、気付けば渋谷の漫画喫茶のトイレで嘔吐という名のボムトラックを叩き込んでいる。昔はこれくらいの量では吐くことはなかった。もはや俺は昔の自分に惨敗し続けている。
二日酔いのまま夕方に目覚め、これからレイジのライブが始まる実感に欠けたまま、幕張メッセへ向かうべく武蔵野線に乗り込む。目の前に座っているオヤジがおもむろにワンカップ酒を飲み始める。オヤジ、そこらへんにしときなよ。体を壊すぜ。しかしオヤジは言う。「俺はもうマギーの牧場で働くのはコリゴリなんだ」と。聞こえる聞こえる。労働者の叫びが。そしてこれからレイジのライブが始まるんだと。

幕張メッセの会場に入ると、さすがに売り切れただけあり、既にかなりの人がスタンバっている。開演時間の18:30の頃には15,000人が痺れを切らしている状態だ。肘を付いて爆睡している客。何故かブラジル国旗を振っている客。堅実なバンドとは逆に、客層の楽しみ方は自由なのがいかにもレイジらしい。ステージ上ではスタッフがウクレレのごとくやたら高い位置にエレキギターを抱え、弾きにくそうにサウンドチェックを開始する。はは。トムがこれを弾くんだなと。
既に開演予定時間から20分が経とうかという時、さあ、いよいよ電気が消え、怪しげなソ連国歌が流れると同時にステージ後方からは巨大な☆マークが現れる。いよいよ奴らが登場した。もうザックのお決まりのフレーズが決まった時点で凄まじいモッシュが沸き起こる。間髪入れずにTestifyを投入した途端に、曲は縦ノリなのに横に暴れる者、泣きながら人を殴る者、もう誰も制御不能の状態だ。そして容赦なく縦ノリのBulls On Paradeを叩きつける。10余年ファンを続けながら改めて思う。何て凄まじいリフなんだと。そして改めて思う。トムはアコギは売り払ったほうがいいと。

やはりザックには疲れが目立ち、かつてのアクションやラップのキレはない。しかし一方で何故か最年長のトムは全盛期以上に足を縦に横にと漕ぎまくる。皆の視線がザックに釘付けになろうと、アンプの上に昇って異常なほどに高いジャンプを決めるエレキギター・ヒーローのお前を俺は見逃さない。改めて思う。トムのアコギは燃やした方がいいと。

全般を通して音自体の完成度は決して良いとはいえない。バスドラムの音はファットで、おかげでVietnowやRenegades of Funkといったファンキーな曲の個性が潰され、モッタリとした印象を与えてしまっている。トムとブラッドの連携ミスも多く、タメが上手く生かされてない場面が目立つ。また、歳を取ったザックの激しい息切れを考慮してか、ザックのラップに合わせて曲のテンポも全般に落としている。しかし逆にサビや曲の最後部といった、短い歌詞のセンテンスを言い放つ部分では一気にテンポを上げ、暴発のコントラストを生み出し、最大限に楽曲の攻撃性を発揮していたと思う。しゃがんで休みながらラップを口ずさんでいるザックも、ここぞという時に立ち上がって跳びまくる。おかげでBullet in the Head、Know Your Enemy、Wake Upといった、最後の展開に力を込めた曲群はライブのハイライトとなっていた。全盛期ではなく、今のレイジをレイジはよく分かっている。8年前と同じようにビールを煽って、8年前と同じように暴れればボロ雑巾のようになっている自分が恥ずかしく思える。

Wake Up終了後、ひとまずお約束の閉演。そしてアンコールで登場するや否やFreedomを落とし込む。す、凄すぎる。アンコール前より音量を上げ、耳慣れたユニゾンのリフが胸を打つ。ザックのマイクに音が入ってなかろうと、全てが完璧すぎる。俺が代わりにラップをするからこのまま続けてくれ。ブラッド、なんで最初からこの力で叩き込んでくれなかったんだ。そのまま完璧のタイミングでいよいよ登場するのがKilling in the Name。レイジには悪いが日本人の俺らはこの曲のメッセージを履き違えて理解してるかもしれない。でも横の知らない奴らと肩を組んで、ただただ「父ちゃん、父ちゃん」と叫ばせてくれたっていいだろう。俺らはこの曲のメッセージを履き違えて理解してるかもしれない。でもこんな凄まじいリフを作って来た自分らを恨んでくれ。もうこんなの聞いてたら俺らは馬鹿にしかなれない。そんな馬鹿な俺らに向かって、最後に強烈な白い照明が照らされる。相変わらず舞台演出も何もない。相変わらずライブ向けの特別な演奏アレンジもない。こんな白い照明だけで感動させてしまうレイジが憎い。馬鹿な俺は思う。今日のライブは全てアンコールのためにあったんだなと。

Rage Against The Machine。もはや言うまでもなく90年代を代表するバンドである。当時は世界最強のライブバンドと言われ、体力勝負の音を出してきたRage Against The Machineが、再び2008年に今の彼らにしかできない形でライブを展開している。今の彼ら自身が、唯一許されたアンコールのチャンスでライブを展開しているのがひしひしと伝わる。昔のお前らも良かった。でも今のお前らも最高だよと。そして飲みすぎたせいで下痢の俺は、今度は肛門のボムトラックをかます最低の男だなと。


2/9 Live at Makuhari

1.Testify
2.Bulls On Parade
3.People Of The Sun
4.Bombtrack
5.Vietnow
6.Bullet In The Head
7.Know Your Enemy
8.Renegades For Funk
9.Guerrilla Radio
10.Calm Like A Bomb
11.Sleep Now In The Fire
12.Wake Up
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13.Freedom
14.Killing In The Name

2008/02/10, key-k.com (ケヅメリクガメ)

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