THE BATTLE OF JAPAN THE BATTLE OF JAPAN
満員の昨日の幕張公演に比べると、本日の客の入りは6〜7割程度。全てが昨日に比べるとスムーズであるせいか、客の戦闘モードも穏やかに感じられる。そんな中、自分も昨日に続いての参戦で筋肉痛に苦しむ今日は、モッシュには決して加わらないと自身に約束していた。それに昨年のコーチェラでの再結成から考えると本日で3度目のレイジ復活ライブである。もう場慣れにあぐらをかいて、後方でのんびりと彼らの登場を見守った。
しかしそんな自分への約束は、ザックの「We are Rage Against the Machine, from Los Angeles, California!!」の掛け声と共に捨て去るしかなかった。この掛け声の時点で、昨日と明らかにザックの声の張りが違うのだ。客のモードが穏やかであっても、何故かザックは昨日より何倍も戦闘モードである。自分の無意識のうちに視界が狭まり、ステージにいるレイジの姿がどんどんと大きくなる。気付いてみれば今日もモッシュピットに身を置いていた。

そして一気に最初に放出した曲は、なんとGuerrilla Radioである。おそらく"PRIDE"効果で最も知名度の高い曲となっている日本を考慮してのセットリストにしたのだろう。そんな意外なスタートから始まったのに、いきなりギター・リフの入りがずれる。もうそんなのはどうでもいい。もともと演奏力で勝負しているバンドではない。この粗さが逆にテンションを上げてくる。そしてPeople Of The Sun、Bombtrack、Testifyと歴代のキラーチューンを万遍なく叩き込む。今日は昨日と違って曲間が短く、メンバーの休憩なく曲を繰り出す。そしてザックの動きの激しさだけでなく、何よりブラッドのドラムの音質がタイトでいい。それを改めて確認できたのは続くファンキーなVietnowだ。最後の爆発部分の音圧に圧倒される。彼らのライブは決して「音量」が大きいわけではない。安っぽいギターに、コンパクトすぎる小さなドラムキット。しかし、トムとティムによるユニゾンのリフ、それにタイミングを合わせたブラッドのバスドラム。溜めの後の放出で、この三位一体の音塊がマックスに鳴らされると、ただひたすらにその「音圧」によって暴れたい衝動を引き起こす。この三位にザックは含まれていないが、ボーカルがクリス・コーネルでなくザックであることで、加減なく音圧を叩きつけることができる。つまり、この三位一体の指揮者はザックでしか務まらないということだ。続くBullet In The Headではその持ち味が更に如何なく発揮されていた。

完璧なライブになると確信し、そのまま後半戦に突入。その途端、おそらくティムが間違えたのか、Bulls On ParadeWake Upか分からないグチャグチャのイントロのまま強引にDown Rodeoに突入。昨日のRenegades of Funkでの急激な盛り下がりを念頭に入れて、今日はDown Rodeoに差し替えたのだろうが、これもまた盛り上がらない。しかしこの曲自体の完成度は低いものの、完成度の高いライブにとっては最高の休憩時間となった。不完全燃焼のままBulls On Paradeをドロップ。不完全なDown Rodeoのおかげでこの曲の凄まじさが顕わになり、モッシュピットに一気に火がつく。まさに"牛の行進"のごとく怒涛な低音が去って行った後に、立て続けにあのひずみまくった待望のうねるベース・リフがやってきた。なんとTire Meである。スキャットに近いザックのラップが声を張る。ザックが痙攣する。ザックが表現豊かにゆるいメロディを織り交ぜる。もう三十路も目前の自分。しかし30代後半になろうかというザックが、昨日と同じ赤いシャツを着て目の前で暴れている。ついでにトムが何故か「フィギュアスケートか」と突っ込みを入れたくなるほど、足を上げて横に回転させている。

昨日のライブが現在のレイジを体現していたのであれば、今日のライブは過去のレイジを彷彿とさせるものであった。Rage Against the Machine。ただただ本当に凄いバンドだ。俺はただただ思った。 こいつら、確実にこれから全盛期を築こうとする気だろうと。War Within A Breathであそこまで客を暴れさせたライブは初めてだった。そのまま昨日より完成度の高いアンコールを決めて今日も閉幕し、仲間と再会した。


自分は長年レイジのファンサイトを運営しておきながら、レイジのTシャツは自分で買ったことがないし、"The Battle of Los Angeles"に至っては遥か昔の学生時代の友達にコピーしてもらったCD-Rしか持っていない。
欠かさずにレイジのグッズを必ず購買する仲間や、コーチェラに行った数ヵ月後にはRock the Bellsでの彼らのライブのために再びアメリカまで渡航している仲間を見ると、こんな自分がレイジのファンサイトの管理人であっていいのかと悩むばかりだった。しかし今日のライブを見て思った。ただただ俺はレイジの音が好きなんだと。レイジのリフが好きなんだと。レイジのグルーヴが好きなんだと。レイジの声が好きなんだと。

レイジのメンバーを愛する奴。レイジの音を愛する奴。レイジのスタイルを愛する奴。レイジの思想を愛する奴。レイジの全てを愛する奴。

レイジ自身は政治的な面や、ミクスチャー・へヴィロックの元祖としての面で、強烈な主張を持ったバンドである一方で、逆にその主張をファンに押し付けず、その解釈はファン各人で受け止めれば良いという大らかで不思議なバンドだ。だから、無条件に音を楽しんでくれる無知なモッシャーも彼らは決して否定しない。きちんと理論武装しながらいつまでも"不良音楽"とみなされてしまうレイジの身にとっては、自分のような無知なモッシャーのファンがついていることが一番の足手まといになっているのに間違いないというのに。

自分は、"ミュージシャン(音楽人)"に対しては、ミュージシャンの音楽以外に興味を拡大する人に対してどこか距離を置いていた。寛大なレイジを見ていると、自分の心の狭さが恥ずかしい。もう、レイジを好きなら、その人が無条件に大好きだ。

全てのレイジ・ファン、そしてコーチェラ同盟メンバー、彼らのライブの音を共有してくれて、無条件にありがとう。


2/10 Live at Makuhari

1.Guerrilla Radio
2.People Of The Sun
3.Bombtrack
4.Testify
5.Vietnow
6.Bullet In The Head
7.Down Rodeo
8.Bulls On Parade
9.Tire Me
10.Know Your Enemy
11.Sleep Now In The Fire
12.War Within A Breath
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13.Freedom
14.Killing In The Name

2008/02/14, key-k.com (ケヅメリクガメ)

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